ToshiYasuiBlog

慶應義塾大学大学院システムズデザイン・マネジメント研究科の教員である筆者が、ポストシステム思考・ポストデザイン思考の研究教育のさまざまな試みを自省しつつ、日々の振り返りとして書きつづる

連休中もイノベーション中! 慶應SDMのデザインプロジェクト

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慶應SDMの学生向けデザインプロジェクトは、本日がlearning phaseことPhase1の第二日目。白坂先生のenabler frameworkとシナリオグラフ、OSOROシリーズをはじめ、いま最も日本でエッジのきいたデザイナーのひとりである田子先生石橋講師によるバリューグラフ、前野先生と田子先生によるプロトタイピング、そして前野先生による構造シフト発想法、と大変に盛り沢山の内容でした。

上の写真は、今回からデザインプロジェクトに使いはじめた大部屋を活性化する、というテーマでバリューグラフとシナリオグラフを書いたあと、粘土を使って、早速'fail fast'ベースのプロトタイプを作り始めた学生たち。

田子先生はこれまで関与されたいくつかのプロトタイプを持参くださり、学生たちに身近にみせてくださった。プロトタイプをどんどん作っては壊していくことの大切さ、そしてプロトタイプのクオリティを挙げていくことの大事さをわかりやすく解説。下の写真は、田子先生を質問攻めにする、真剣なまなざしの慶應SDMのTA・学生たちです。

田子先生と

'システム×デザイン'思考の中には、発想をシフトさせることをシステマチックに組み入れておく、という構造シフト発想法がしっかりと根付いています。今日は「まずやってみよう」という最初の勉強+お試し演習、という感じでしたが、これが1年間続いていくと、エッジのきいたイノベーティブなアイデアに昇華するのではないか、と期待できるスタートでした。下は、「見える」を支援する装置、というテーマで、強制連想法の代表格であるシナリオグラフで発想をずらしてみた学生さんたちのラフラフのプロトタイプです。

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大型連休ではありますが、慶應SDMはイノベーティブなソリューションを生み出す「場」であり続けるべく、連休中も全力疾走中なのでありました。

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  1. 2013/04/27(土) 22:28:47|
  2. ワークショップ
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地域活性化研究は「見える化」がキーワード

                 中嶋先生

先週水曜日の夜、慶應SDMにて地域活性学会メソドロジ部会と慶應SDM地域活性化ラボの合同部会が開かれました。わたくしも「地域活性化度の定量化と地図化」をテーマに、地域活性化日本地図の作成について、他の3人の先生方との共同研究の進捗をお話させていただきました。

他の先生方の発表は、ビッグデータの活用や、人口減少が食い止められている地方の市町村を対象にした事例研究の蓄積の紹介、岡山県吉備地方での人と人とのつながりを広げる素晴らしい地域活性化とブックレットの作成、「福井人」編集等を通じた福井での人間中心の活性化事例など、マクロ・ミクロ両面での興味深い研究発表が続きました。

研究会のしめで、慶應SDMの特別招聘教授でいらっしゃる中嶋先生から、「地域活性化のメソドロジ研究のキーワードは『見える化』ですね」とのお話がありました。まさに同感です、とはたと膝を打ちました。地域活性化は優れた事例が多く蓄積されているので、これからは、比較検証可能な形で、暗黙知を形式知にしていく試みが大事なのではないか、と。

複雑な社会システムの機能とふるまいを解き明かすには、システムの構造化と可視化が欠かせません。地域活性化研究においても、優れた事例研究の蓄積と同様に、比較可能で定量的な、一覧性をもった分析が求められていると思います。これからも、地域活性化研究を社会システムの重要な研究領域のひとつとして、慶應SDMで研究していけたらと願っています。

研究会での報告にあたって、大変お世話になりました中嶋先生、村瀬SDM研究員さま、共同発表者の先生方、参加者の皆様、本当にありがとうございました。

  1. 2013/04/27(土) 13:29:58|
  2. 研究
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保井の個人ホームページが立ち上がりました。

強羅公園のどらえもん

保井の個人ホームページを立ち上げました。このプログの左のリンク集の冒頭のリンクから、当該ホームページに飛ぶように設定しました。ねんのために、ここでもリンクをご紹介いたしますと、こちらから

ホームページでは、プロフィール、教職歴、原著論文、国際会議ペーパーなどの情報によりアクセスしやすくしました。研究内容の参照をみなさまにしていただきやすくするためです。また、今回のホームページ開設に伴い、プログで公開していた原著論文やメディア紹介事例へのリンクは、ホームページにすべて移しました。

これからもプログは一生懸命に書き綴ってまいります。新たに開設したホームページはいわば、研究活動の公式の「顔」。そしてプログはプライベートも含めて、研究やワークショップの「息吹」をビビッドにお伝えするもの。このように役割分担していきたいと思います。引き続き、プログならびにホームページの両方で、温かくお付き合いいただけければ幸甚です。どうぞよろしくお願い申し上げます。
  1. 2013/04/26(金) 22:27:35|
  2. その他
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バスで突き抜ける! 社会技術システム論への旅

                     西山先生

慶應SDMの推奨俯瞰科目『社会システムのシステムズアプローチ』の講義が今日から始まった。春学期の土曜日隔週で3-4時限の続き講義。はじめのコマは、筆者がガイダンスと講師紹介、そして、社会システム論の50年の学説史をざざざっと俯瞰。大学院ではあるが、25名ほどのメンバーが受講に集まっていただきました。前向きな雰囲気を実感。

次のコマは上の写真の方、西山先生の社会技術システム論と社会調査の概論講義。

西山先生は、小さい頃からバスの研究を志し、日本でのバス研究の第一人者のおひとり。バスまっしぐらで日本一、という研究者魂も素晴らしいが、バスというモビリティを社会技術システムを構築する核となるソリューションのひとつに据えるという、システム思考に感服です。90分間、バスという交通システムとしてのソリューションの魅力を余すことなく語ってくださいました。そう、バスはある意味、ハードウェアであることをやめてもよいのかもしれません。

今年の受講生は前年にもましてとても積極的。TAの二人と博士課程学生で、学期で計3回あるワークショップのファシリテーションを買ってでていただいた。慶應SDMならではのポジティブ指向。さらに、今日の社会システム論概論に付加したいと、デリダなどのディスクールも説明したいと志願する学生さんもいて、早速、わたくしの講義の名物「半学半教タイム」(冒頭5分間)でのプレゼンを次回お願いしました。

ジャンプスタートした今年の社会システム論の講義。これからが楽しみです。


  1. 2013/04/20(土) 18:08:55|
  2. 研究
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ソリューションのプロトタイプとしての即興劇

            スキット1

慶應SDMのBoot Camp最終日の日曜日は、即興劇によるプロトタイプの練り直し。チームに分かれて3回の練り直しを経験しました。イノベーションの加速のためには、fail fastの原則で、あらあらのソリューションを簡便な形で原型に表します。デザイン思考でもよく使われるprototype for empathyとして、スキット(即興劇)は効果的なメソッドとして多用されます。

スキット2 左の写真は、宇宙デブリの回収事業をスキットで説明しているところ。

          先輩座談会

午後からは、合宿に駆けつけてくださった慶應SDMの先輩方の座談会・パネルも開かれ、盛り上がりのうちに合宿は無事終了。この写真の4人の先輩方は、いずれもそれぞれの分野で第一線の素晴らしい成果を上げておられるシステム・エンジニア、ソーシャルアーキテクトの方々です。

合宿の運営に尽力くださった教員・学生のボランティアの方々、また参加してくださった学生のみなさま、本当にありがとうございました。わたくしもボランティアのひとりとして、とてもよい気付きをいただきました。心から御礼申し上げます。





  1. 2013/04/14(日) 20:02:28|
  2. ワークショップ
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慶應SDMの新入生合宿がはじまった !

20130413SDMBootCamp_2

2013年度の慶應SDMの新入生合宿"Boot Camp"がはじまった。システム×デザイン思考の基礎を週末の2泊3日で叩き込むintensiveな教育は、2008年度以来、慶應SDM卒業生の語り草となっている。

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ロジカルシンキング、ブレーンストーミング、プロトタイピング、そしてスキット、とひととおりのデザインプロジェクトのシークエンスを体験できる、ぎゅっとつまったパッケージ。

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今年の修士1年生たちの習得具合と伸び方は、おそらく慶應SDM発足以来最良の素晴らしさ。これからもぐんぐん日本のそして世界のイノベーションのために伸びてほしいと願う。


  1. 2013/04/13(土) 17:05:40|
  2. ワークショップ
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地域金融機関こそオープンイノベーションの目利き役になれる

20130413WS信用金庫

全国信用金庫協会の広報誌『信用金庫』2013年4月号に、ワークショップにもとづく’システム×デザイン’思考によるオープン・イノベーション加速の方法論と事例について、寄稿させていただきました。
 地域に密着した信用金庫でひろく読まれる広報誌にボランティアで寄稿させていただいたのは、信用金庫をはじめとする地域金融機関が、地域の志高い起業家とエッジの効いたテクノロジーの目利き役となり、マッチング役としてイノベーティブ・アイディアの他家受粉を行うことに期待しているからです。慶應SDMの取り組みも最後に少し書かせていただきました。主張のポイントは次の5点です。

地域金融機関がワークショップを駆使してオープン・イノベーションを触発する五つのポイント

1. 発想の思い切ったシフトと会話から、イノベーションが生まれる。
2. 会話型リーダーシップがオープン・イノベーションを生む。
3. ワークショップが企業や社会のシステムを変える「場」になる。
4. 地域金融機関こそが、オープン・イノベーションを生むワークショップの担い手だ。
5. イノベーションのためのワークショップはシステマチックでシステミックに実施する。

[記事へのリンクはこちらから]

  1. 2013/04/13(土) 13:40:37|
  2. 研究
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天国からの贈り物

                  本



お世話になっている先輩からメールを突然いただいた。「あなたの本が鳥居先生の本に引用されている」という。咄嗟のことで事態がなかなかのみ込めなかったが、昔のことを頭の中で思いめぐらすうちに、ようやく腑に落ちてきた。
 鳥居民先生は、横浜に長く住まれた市井の歴史家で、齢80歳を過ぎても産経「正論」その他に健筆をふるっておられた。最近では、昭和20年の世相を顕微鏡的に描くことで日本の統治構造をあぶりだす『昭和二十年』のシリーズの著作に没頭されておられたが、今年1月に惜しくも世を去られた。『昭和二十年』も第13巻を数えたところで未完となった。
 鳥居先生の遺作となったのが、『それでも戦争できない中国』(草思社)。編集者の注釈によれば、原稿はいったん2008年に完成していたが、中国情勢の進展にあわせて改稿の予定であったという。それが果たされず、旧稿のまま遺作として3月に出版されたのだという。
 その本のなかほどに、2005年に出た拙著『中台激震』のキモを2か所引用してくださっている。鳥居先生の台湾海峡をめぐる分析は、2008年に書かれたのに古さをまったく感じさせず、最近のこの海域の緊張の高まりを受けて、むしろますます冴えわたっている。
 まったく知らなかった。拙著を温かく引用していただいていたなんて。先生に拙著がお目にとまった経緯は今のところ不明である。
 拙著『中台激震』は売れなかった。かんべえ先生いそやん先生はじめ、幾人かの先生方から好意的な書評をいただいたが、あえなく絶版。最後は売れ残りの在庫を十数冊か買わせていただくことになった。著者としては、ワシントンから見た日本-中国-台湾の安全保障と経済関係の機微という斬新な切り口を提供できたことを誇りに思っているが、やはり筆致が青臭かったのであろう。あるいは気負いが過ぎたかも知れない。例の2009年の海保巡視船への漁船体当たり事件の後でせめて刊行していたら、と慰めてくださる方もいたが、もって瞑すべしである。
 しかし、鳥居先生のようなエッジの効いた歴史家に、関心を持って拙著を読んでいただけたというだけで、とてもありがたく、うれしいと感じている。せめて生前の先生に御礼のお手紙を差し上げられていたら、と残念に思う。しかしそれはかなわないので、心の中で手を合わせている。
 台湾海峡をめぐる経済安保関係の研究者であることに、希望を失いかけていたところに、「おい」と肩をたたいて励まされた思いがする。鳥居先生、天国からの素敵なプレゼント、本当にありがとうございました。


  1. 2013/04/13(土) 13:21:17|
  2. 研究
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研究室・ラボ紹介用ポスターを一新しました。

慶應SDMの今年度の研究室・ラボ紹介のポスターを作りました。わたくしのものはこちら→今年度の研究室紹介のポスター。昨年度までとはスタイルを一新しました。
  1. 2013/04/07(日) 16:41:34|
  2. 研究
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ガリガリ君を食べるエスノグラフィの意味

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慶應SDMの看板科目「デザインプロジェクト」の2013年度の第一回演習が、今年春に入学した修士1年生等を対象に、4/6土に始まりました。「"システム×デザイン"思考=イノベーション」を標榜する慶應SDMのフラグシップ講義・演習です。

ラーニングフェーズ、アクティブラーニングフェーズ、そしてデザインフェーズと3段階で実戦度の高度を上げていく約半年間のプロジェクトベースド・ラーニングの課程のうち、この日は第一フェーズの第一日目。当科目のディレクターを務める石橋助教の説明を勝手にお借りすると(石橋さん、ごめんなさい!)、この日は、

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・デザインプロジェクトのイントロ、全体説明
・デザインプロジェクトのフィロソフィー
・ブレーンストーミング
・親和図法
  ブレーンストーミングの結果等から、抽象度を上げて意味を引き出す方法の一つとして紹介。
  複数の人間の思考の構造化、お題に対する認知のマップという表現で紹介。
・フィールドワーク
  SDM学観点からのフィールドワーク(インタビュー、エスノグラフィー含む)についての講義。
  デザイナー観点からのフィールドワーク(同上)についての講義。
  ガリガリ君(アイス)を使ったエスノグラフィーの演習。
  エスノグラフィーの演習から、急造プロトタイピングの演習。
・Phase1-1のまとめ

と進んだのでした。

この日の圧巻は、超有名なデザイナー田子學講師によるフィールドワークとエスノグラフィの説明と演習。   

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田子さんは、数々の賞を受賞した鳴海製陶の食器OSOROなど、高い評価を受けたデザインを多く世に問うて来られたクリエイティブ・デザイナー。超多忙にもかかわらず、慶應SDMでの講義に駆けつけてくださいました。田子先生、本当にありがとうございました。

びっくりしたのは、アイス(ガリガリ君)を食べる様子を受講者がエスノグラフィーし合うという演習。ガリガリ君を隣のひとが食べる様子を5分間、集中してすべての様子を観察・記録。構造化された自分の行動を、エスノグラフィーから得られた気付きから分析し、簡単なプロトタイピング作成をするという流れでした。冒頭の写真は、紙で創った、ガリガリ君の新しいイノベーティブデザインのアイデアを学生たちが意見交換しているところです。とても楽しく、そしてなるほどという気付きの多い、素晴らしい説明と演習でした。

デザインプロジェクトをはじめとする慶應SDMでの学びを貪欲に吸収して、学生さんたちがどんどん伸びていってくれると、とてもうれしいです。

Dpro2013-Ph1-1_2
  1. 2013/04/07(日) 14:54:02|
  2. ワークショップ
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横浜市港北区日吉の大学院でポストシステム思考・ポストデザイン思考のイノベーション研究をしています。社会システムや政策デザインが主な関心です。

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