ToshiYasuiBlog

慶應義塾大学大学院システムズデザイン・マネジメント研究科の教員である筆者が、ポストシステム思考・ポストデザイン思考の研究教育のさまざまな試みを自省しつつ、日々の振り返りとして書きつづる

イノベーションと社会技術システムについてみなと考えました

今日は土曜日。慶應SDMの春学期の講義で、わたくしが担当する「社会システムのシステムズアプローチ」の一コマをご紹介します。

この講義は、隔週土曜日ふたコマ続きで行われます。一コマ目がわたくしの社会システムに関する座学。社会システムに関する様々なディシプリンと領域に関する先進的な学術的動向を紹介していきます。ふたコマ目は、慶應SDM内のさまざまな研究を行っている先生方や外部の講師の先生方を招き、社会システムに対する多様な視点を履修者に涵養していただきます。

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慶應の伝統である「半学半教」。先生・学生の別なく、先に半歩行っている者が半歩後ろの者に学んだことを教えるということを相互にし合うということです。この講義では、社会システムのフロンティアを教えあうことを目的にしているので、「半学半教」タイムを設け、一コマ目の講義の冒頭5分間、志願していただいた学生から、自由にシェアしたいことを発表してもらいます。上の写真は、半学半教タイムで発表する学生で、社会科学をシステムズアプローチで分析するにあたって大事なことを発表しています。 

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この日の一コマ目は、社会システムのイノベーションについて。古典的なイノベーション理論から、さまざまなイノベーション理論を「戦略サファリ」ならぬ「イノベーションサファリ」し、ソーシャルイノベーションとソーシャルデザインについても最近の理論動向を俯瞰しました。


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ふたコマ目は、慶應SDMの西山敏樹先生による社会技術システムの講義。西山先生のコアの研究領域のひとつである公共交通とモビリティのシステムを例に、技術と社会と制度のシステムインターフェイスをわかりやすく講義していかれます。

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テクノロジーと制度の統合の大切さ、生活の質を上げるシステムのふるまい、そしてバスを社会技術システムの視点で分析することの大切さ。学生たちの熱心な質問が相次ぎます。今年の講義の履修者の多くは修士2年生です。修士論文のテーマにも深くつながる可能性もあるので、質問も真剣です。

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この科目では、社会システムのさまざまなディシプリンと領域について、時にはワークショップを交えながら、7月まで講義を進めていく予定です。また、折に触れて、慶應SDMの講義のおもしろいところを、ご紹介していきたいと思います。




  1. 2014/04/26(土) 11:43:10|
  2. 研究
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慶應SDMのBoot Camp

慶應SDMでは、春入学と秋入学のタイミングに合わせ、4月と10月の週末に「新入合宿」を行っています。今年も春合宿が、4月12-13日の土日で、千葉県のカントリーテイストあふれる研修施設で行われました。

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システム、デザイン、マネジメントをバランスよく、チームで、朝から晩まで二日間かけてしっかりと学びます。

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下の写真は、スキット(寸劇)で、「システム×デザイン思考」のソリューションをプロトタイプとして表現しているところです。Playback Theater方式を応用し、即興によるイノベーションの源泉を呼び込む工夫をこらしました。

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  1. 2014/04/13(日) 11:55:37|
  2. 研究
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慶應SDMのデザインプロジェクト、今年も春爛漫のなかスタート !

慶應SDMの保井です。慶應SDMの看板科目「デザインプロジェクト」が今年も春爛漫の中、スタートしました。履修生たちは半年強をかけて、「システム×デザイン思考」のエッセンスを学び、企業や公的機関のプロポーザーから頂いた社会課題の「お題」について、社会実装めざしてソリューションをデザインしていくことになります。下の写真は宇宙システムなどシステムズエンジニアリングの大家五百木誠先生が、ブレインストーミング中の学生たちを指導しているところです。


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この科目は講義と演習の組み合わせで、Project-Based Learningの最適形。授業は隔週土曜日の午後から夕方ですが、学生たちは実際にプロジェクトを回していくために、一週間のかなりの時間をこの科目に費やすことになります。でも、手ごたえ十分とばかりに、学生たちの笑顔が印象的です。

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4/5土の初日は、デザインプロジェクトの概要の説明、ブレインストーミングから親和図法、そしてフィールドワーク、とまずは基礎固め。

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本日の演習の後半は、社会デザイナー坂倉先生による「引き算」。坂倉先生は、三田の家や芝の家の主宰で知られており、最近では、地域活性化の関連で、「地域の居場所」や「ご近所イノベーション」のコンセプト提案も行っています。

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「引き算」は目隠しをするなど、人間の五感のうち一感を引くことで感性を鋭敏にし、自分自身をエスノグラフするデザイン技法です。学生たちは、まず目隠しをして、歩いてみることで、自らの体内に起こった「かすかな変化」を感じとります。

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その後、学生たちは日吉キャンパスの中を、目隠しをして歩いてみました。次第に研ぎ澄まさる感覚が、システム×デザイン思考に必須のオブザベーションへの鋭敏さを養っていきます。学生たちには、その後、「引き算」を自分のテーマで引き続ける1週間を過ごし、自分自身をエスノグラフする宿題が出されました。さて、どんなエスノグラフィが次のDproで学生たちから報告されるのか、少しわくわくしながら待っています。

  1. 2014/04/13(日) 10:33:24|
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「システム×デザイン思考で公共政策を創る」に学生たちが挑戦しました

今日は、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(慶應SDM)の講義のうち、秋学期の「公共政策のイノベーティブデザイン」の最終発表の模様を、やや旧聞に属しますが、ご紹介します。

この科目は、秋学期の隔週の土曜日、2コマ続きです。社会人学生にもとりやすい曜日。春学期にデザインプロジェクトで「システム×デザイン思考」の基礎をしっかり学んだ学生たちが、公共政策づくりの方法論を学び、自分でも創ってみるという科目です。早田先生とわたくしが共同担当した社会システムの講義です。

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履修した学生たちは、半年間学んだ政策づくりの方法論を、自らのテーマで思いっきりプレゼンしたのでした。
捨て猫・捨て犬対策、サッカー場を利用した発電システムの提案、子供の虐待防止SOSのポータル化、地域活性化、待機児童の解消と保育ママの一層の拡充策など、みなの思いがこもったパッションあふれるプレゼンが続きました。


2014年1月の土曜日、システム思考とデザイン思考でみなが創った、思い思いの公共政策を発表するプレゼンテーション大会でした。当科目の成績評価にも直結する大事なプレゼンです。

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審査員は、エッジが立っているといま注目の先生方が手弁当で駆けつけてくださいました。起業のコ・パイロットとして活躍する定金先生。そして、福島で目覚ましい起業を行い、地域づくりの政策にも造詣が深い、石山先生。石山先生は、全国商工会議所連合会の女性起業家大賞を受賞されています。定金先生、石山先生、献身的かつ熱のこもったアドバイスと審査、本当にありがとうございました。

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この日プレゼンした政策は、中にはつたないものもあったかもしれません。しかし、デザイン思考の要諦のひとつ、"fail fast"原則(速く失敗して何度もイノベーションのループを回そう)にのっとって、政策のプロトタイプ(試作品)を創ってみた経験は、今後の慶應SDMの学生たちにとって、決して小さくないはず。

公共政策づくりは、官民のイノベーティブな対話で創り上げていく時代。その方法論を手に、慶應SDMの学生たちたちが旅立った瞬間。そんな気がした日吉キャンパスの土曜日の一日でした。審査員の先生方、共同担当していただいた早田先生、そして何よりも政策づくりプレゼンに参加していただいた履修生のみなさま、本当にありがとうございました。
  1. 2014/04/13(日) 09:04:23|
  2. 研究
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おぼろげながら見えてきたもの: つながりが幸せを生み出すフレームワークについて

昨年末から今年はじめにかけて、頭の中がずいぶんもやもやしていたのですが、ああ、これかも、というテーマがおぼろげながら見えてきた感じです。それは、わたくしの研究テーマの主軸はこれから何になっていくのか、というお話です。そして、それはきっと、つながることの本質的な価値、つながることがなぜ価値=幸せを生み、「場」を作り、イノベーションを呼ぶのか、そのメカニズムの解明、モデルの構造化と分析・実証ということだろうと。このテーマを2014年かけて、きっと追求していくのだな、と考えるに至りました。

昨年夏から秋にかけて、ありがたいことなのですが、さまざまな研究やワークショップや執筆や新しい講義が押し寄せ、アップアップして、このプログも更新がままならぬ状態が続いていました。他方で、よかったことは、仕事の洪水の中でもがき続けたことが、自らにとって未来に向けて大切なことを見いだせるチャンスとなったことです。

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写真は、慶應SDMで昨年12月に開かれた第二回未来デザイン会議でグランプリを獲得された、鎌倉戦隊ボウサイダーのプレゼンの光景です。東日本大震災のときの津波避難の教訓を生かすため、子どもにもわかりやすい防災啓発飲料をコンセプトに、クラウドファンディングや鎌倉にある起業家グループ「鎌こんバレー」、そして地方自治体などとどんどんつながっていくビジネスモデルを構築し、ソーシャルイノベーションを起こしています。未来デザイン会議では、「システム×デザイン思考」でソーシャルイノベーションを起こして言っている素晴らしいプレゼンが多くありました。


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昨年秋に、慶應SDMの研究プロジェクトとして、地域活性化のフロントランナーであり、UターンIターンの島としても知られる島根県隠岐島の海士町を訪問させていただいたのも、よいきっかけになりました。海士町は、ピーク人口7,500人から今は3000人を切っている過疎のまちながら、コミュニティが自立することを追求し、農林漁業と観光を中心に、どのようにコミュニティの価値向上に結びつけるか、挑戦を続けていました。少子高齢化と厳しい財政事情という、課題先進国日本のフロントランナーの現場を、多くの方と現地で対話することで実感させていただきました。

海士町のみなさまに加え、岡山県総社市のNPO吉備野工房ちみちの加藤せい子さん(地域活性学会に向けた共同研究でご一緒しています)や、徳島県神山町のNPOグリーンバレー神山の大南信也さん(昨年7月の酷暑の週末の高崎、地域活性学会の研究大会でご挨拶させていただきました)、そして他にも素晴らしい地域イノペーターの方々に慶應SDMの研究を通じてお会いして、感動をいただきました。

何よりも、地域活性化の天才の方々とお会いして感じたのは、われわれ慶應SDMが構築しようとしている「システム×デザイン思考」によって社会にイノベーションを加速しようとする方法論は、海士町をはじめ多くの先導的なコミュニティで、天才的と言える素晴らしいイノペーターの方々によってはるか昔から実践されているなあ、ということ。ということは、これを学術的にしっかりと確立していくことが大事だということでした。

systemic and systematic thinking、すなわち、つながっていくことで全体俯瞰的にものごとをとらえ、問題の解決策を順序立てて生みだしていくというシステム思考。そして、社会の課題に対してideation-fieldwork-prototypingという三位一体を通じてソリューションを提案し、社会に実装していくというデザイン思考。この二つのよいところをマエストロのように瞬時に行ったり来たりし、ソーシャルイノベーションのデザインを生むひとたち。

この天才たちの頭脳の中には、つながることの本質的な価値がぱっとわかり、つながることがなぜ価値=幸せを生むかということがひらめき、みなが集う「場」を作り、イノベーションを呼ぶメカニズムが埋め込まれているのでしょう。ああ、それを可視化したい、構造化したい、そしていつの日にか、天才でなくとも後から方法論を学ぶことで、社会にイノベーションが起こせるように体系化したい、と。

このテーマをグローバルなリスク分析という、日本にとっての安全安心というテーマに応用したのが、PHP総研グローバルリスク分析2014年版でした。昨年12月に、外交安全保障や経済金融の専門家の先生方とご一緒させていただき、集合知にもとづく「システム×デサイン思考」によるリスク分析の新しい方法論をモデル化させていただき、この2014年の分析に早速応用させていただいたのでした。


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昨年夏のある日、慶應SDMがある慶應日吉キャンパスのグラウンドにほんやりとたたずんで、長い間、考えごとをしていました。それは、自分の学術的興味はどこへ向かうのだろうかということ。

2014年のはじめにそれが、おぼろげながら見えてきたような気がします。多くの先学たちが素晴らしい業績を挙げておられる中で、浅学非才な自分は何が社会に学術的に貢献できるのだろうか。それは、つながり、「場」をつくり、つながることで幸せになり、そのつながりが「場」にできた集合知の協創のちからで、社会に問題解決を設計提案(ソーシャルデザイン)し、社会のシステムをより良い方向へ変えていく(ソーシャルイノベーション)こと。システム×デザイン思考=>価値の協創=>ソーシャルデザイン=>ソーシャルイノベーション、のシークエンスの構造化をするということかもしれません。そして、それを具体的な学術フィールドとして、公共政策、地域活性化、金融、リスク分析、社会システムなどで事例を集め、一般化していきたい。

なんだか、これまで研究でいろいろなことをやってきて遅まきながら、ということかもしれず、恥ずかしい感じもしますが、トラックを何周か走って、また次のスタートラインに立った気持ちがするので、2014年の年初めということで、プログに書いてしまいました。今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
  1. 2014/01/03(金) 15:37:11|
  2. 研究
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横浜市港北区日吉の大学院でポストシステム思考・ポストデザイン思考のイノベーション研究をしています。社会システムや政策デザインが主な関心です。

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