ToshiYasuiBlog

慶應義塾大学大学院システムズデザイン・マネジメント研究科の教員である筆者が、ポストシステム思考・ポストデザイン思考の研究教育のさまざまな試みを自省しつつ、日々の振り返りとして書きつづる

北九州・小倉で協創力のイノベーションを叫び、スパゲティでタワーを創る !

チームで進めるスパゲティ20本のタワーづくりに笑顔がはじけ、朗らかな気分が湧き出ていました。
2014年4月19日(土)の午後、福岡県立小倉高校の明陵同窓会と父母教師会に招かれ、ボランティアとして、「イノベーションを起こす力: 社会をポジティブに変革するには」のタイトルで講演し、マシュマロチャレンジのワークショップをファシリテーションさせていただきました。

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小倉高校は創立百周年をゆうに超える伝統を持ち、地域の名門校として知られています。「文武両道」「質実剛健」がモットーで、有名人も多く出ています。たとえば、この方とか、とか、この方とか、この方とか。

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いわゆる「霜降りの小倉」の制服制帽は、旧制中学時代以来、広く知られた小倉高生のトレードマークなのだとか。かわいい博多人形が着こなしています。そういえばこの制服、北九州といえば思い出す名画「無法松の一生」で、主人公・無法松がかわいがっていた、大尉の遺児「ぼんぼん」も着ていましたね。

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この日は、オープンイノベーションが地域や組織の活性化にどのような効果をもたらすのか、協創とは何か、そして近年注目を集めている、社会を前向きに変えていく会話型リーダーシップのあり方とソーシャルイノベーションについて、ざっくばらんにお話させていただきました。

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次に、世界で数万人の方々が実践中といわれる、マシュマロチャレンジに挑戦。スパゲティ20本、マシュマロ1個、紙ひもとテープ1ヤードを使い、だきるだけ高いタワーを18分間以内で建てることをチームで協創し、チーム間で競争するのです。

地元とあって、宇宙工学の大家で、九州工業大学産学連携センター長・教授の赤星先生も駆けつけてくださり、ロケットもかくや、と思わせる構造体を組み立てるべく奮闘中です。赤星先生とは大学時代、同じオンボロ学生寮に住み、文字通り苦楽を4年間ともにしたのでした。ここで、20数年ぶりに再会。感激でした。

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この講演とワークショップは、同校の明陵同窓会とPTAが開催している「保護者のための土曜サポート講座」の今年度、名誉ある第一回の講義としてさせていただきました。同校の先生方や保護者の方々も協創のイノベーションのおもしろさに、笑顔でスリリングなワークを和気あいあいと進めておられます。

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無給ボランティアとして、土曜日に羽田と北九州とんぼ帰りのあわただしい行程でしたが、参加者のみなさまにシステムズエンジニアリングとデザイン思考のスタートアップを楽しんでいただけたようで、とてもうれしい一日でした。小倉高校のみなさん、このようにイノベーティブな先生方とお父さまお母さまに熱心にサポートいただいて、とても幸せですね。

思えば、2013年8月に福島県立福島高校・安積高校の1年生有志のみなさんとこのマシュマロチャレンジをしたのが、今回のご縁に結びついたのでした。まさにソーシャルネットワークのありがたさを実感しました。

今回の小倉でのワークショップにご参加いただいたみなさま、そして準備にご尽力いただきました関係者のみなさま、本当にありがとうございました。とりわけ、明陵同窓会事務局とPTAのみなさまの献身的なご努力に感じ入っております。本当にありがとうございました。
  1. 2014/04/20(日) 15:51:09|
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時を感じさせない「システム×デザイン思考」の煥発: 慶應SDM五周年記念シンポ・ワークショップ

昨日の土曜日、慶應SDMの5周年記念シンポジウムが開かれました。慶應SDMは、慶應義塾開塾150周年を記念して設立された若い大学院。下に学部をもたない独立系大学院で、とても小さい大学院。専任教員の数は12名と、これもおそらく日本一小さい規模でしょう。修士と博士合わせて1学年100人という、誰でも仲良くできるフレンドリーなサイズの学生数でもあります。

この「日本一小さな大学院」が、社会にイノベーションを起こす波を作ろうと、日本そして世界の「仕組み」を前向きに協創の力で変えていく試みを大学教育の現場からはじめて5年。その節目を記念してのシンポジウムが昨日開かれたのです。

第一部は、創設時の慶應SDM委員長であり、宇宙工学とシステム工学の世界的権威である狼嘉彰先生の講演。

わたくしの担当は、第ニ部のワークショップ。慶應SDMの2008年の創設当時から、スタンフォード大学、MITやデルフト工科大学の先生方と連携しながら第一期生とともに手探りで始めたプロジェクトベースの学習体系。慶應SDMは「デザイン×システム思考」というメソドロジーにまとめあげ、デザインプロジェクトという看板科目に統合したのでした。その「デザイン×システム思考」のワークショップを、白坂成功先生の事務局のもと、ファシリテーションの前半を慶應SDMの現委員長である前野隆司先生、そして後半を保井が担当しました。

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第二部のワークショップには、50名を超える慶應SDMの修了生ほかが大集合。いずれも、日本を代表する企業や官公庁、NPOなどで日本のイノベーションの加速のために汗を流しているメンバーたちです。起業家や新規ビジネスの実行者として日々奮闘している若い修了生たちの姿も見えます。

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ワークショップは2時間というとても短い時間でしたが、この5年間のデザインプロジェクトの体系の充実ぶりを少しでも体感してもらおうと、「お試し版」ながら、「システム×デザイン思考」の考え方の概説、ソーシャルイノベーションの世界的な波の俯瞰、そしてイノベーションの創発に使う実際の技法として、「正しい」ブレーンストーミング、親和図法、構造シフト発想法、因果ループ図、レパレッジポイントの特定、プロトタイピング、「両手を使った思考」によるプロトタイプ・イメージの共有、と進みました。

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企業のビジネスの現場や社会のしがらみの中で苦闘している修了生もいるはず。そして2時間という短い時間で、感覚は取り戻せるだろうか、と初めは心配していましたが、そんなのはまったくの取り越し苦労でした。ブレインストーミングが始まるとすぐに、参加者から笑顔がこぼれ、ポジティブ思考が溢れだし、アイディアが湧き出ます。

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親和図の作成で、発散したアイディア群の構造化をまずは行います。そして、アイディアが出てきた無意識の思考のバイアスのパターンを崩すべく、親和図を使って、思考の「パターンずらし」、すなわちシフトをみなで行っていきます。構造シフト発想法と呼ばれるこの技法は、慶應SDMの5年間のイノベーション教育から出てきたオリジナルの技法。昨年のアジア太平洋システムズ・エンジニアリング学会(APCOSEC)や日本創造学会で、その成果が学会発表されています。

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因果ループ図の作成から、ソリューションを生み出す梃子となる点、すなわちレバレッジポイントを特定します。各チームとも、うきうきするような伸びやかな雰囲気の下、レバレッジポイントにあるアイディアの束を使い、ソリューションのストーリーを粘土や色紙、紙コップや紙皿、色ペンなどで、模造紙に表現していきます。

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粘土と色紙のプロトタイピングは一見すると「子どもだまし」のように見えるかもしれませんが、「すばやく失敗せよ(fail fast)」、すなわち決めうちせずに、何回も何回もイノベーション・ループをまわして試作品を作り、ユーザーや開発者間で共感のために使おうという「共感のためのプロトタイピング」の原則にもとづくものです。

「共感のためのプロトタイピング」は1990年代の後半から、米国の西海岸でスタンフォード大学や世界的な社会デザインソリューション会社IDEOが、「経験プロトタイピング」として知見を積み上げ、いまやソーシャルデザインの基本的技法のひとつになっています。時には教育玩具レゴや即興の寸劇(スキットやプレイバックシアター)を使うときもありますが、今回は粘土と色紙です。

粘土の手触りが感性を刺激するのか、参加者はみな生き生きとした表情です。

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ワークショップ終了後は、慶應SDMで毎日24時間、いつ行っても絶対に誰かが何かの作業しているという噂の、通称「大部屋」に集まり、大同窓会です。いま夢中で追い求めていること、研究とビジネスの夢、ソーシャルイノベーションへの意気込み。100人以上の現役学生・同窓生と教員が集まり、100個以上のイノベーションの加速にかける夢が語られました。

第三部の大同窓会では、北関東のそうそうたる通信系企業のトップで慶應SDMの現役社会人学生でもあるイノべーターによる、「人間風船」というサプライズ・イベントも飛び出し、会場は歓声と笑いで沸きに沸きました。

ワークショップと大同窓会でお会いしたみなさま、本当にありがとうございました。しばらく会っていなかった方々も、まったくブランクを感じさせず、「システム×デサイン思考」のイノベーション・ループの輪にサッと入っていただきました。

最近ややオーバーワーク気味で、ちょっと元気がなかったのですが、昨日集まっていただいたみなさんから「情熱と行動することへの勇気」を補給していただいた気がします。みなさん、本当にありがとう。涙が出ました。さあ、日本のソーシャルイノベーションの加速のプラットフォームづくりに、これからも前向きに頑張っていこう。心の底からそう思えた、気持ちのよい月夜でした。



  1. 2014/01/12(日) 15:14:01|
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福島の高校生のマシュマロ・タワーからイノベーションを

8月のお盆休みの日曜日の午後、福島の高校生たちとマシュマロ・タワーを作りました。
福島県の複数の有力高校の1年生生徒80人が自主的に参加した、東京の大学や進学関係機関を訪ね、東京に進学した先輩たちの話を聞く、夏休みの3日間の参観セミナー。このうち90分間をいただき、イノベーションとリーダーシップについて無給ボランティアとして講義。酷暑の中でしたが、ひとりの生徒も居眠りせず、大学院の学生にするのと同じ内容の講義に聞き入っていただきました。その集中力に感動。

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講義の後半は、6人一組のチームに分かれ、マシュマロ・チャレンジに挑みました。スパゲティ20本とテープと紙ひもとマシュマロ1個を使い、18分間でスパゲティを骨材にしててっぺんにマシュマロを載せ、その高さを競い合うのです。イノベーションを起こすプロジェクト演習の教材として、世界の名だたる大企業から幼稚園児まで、数万人がチャレンジしている有名な演習です。上の写真は、どのようなタワーを組み立てようか、と真剣にチームで議論している様子。

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福島の高校生たちが組み立てた立派なタワーに脱帽です。未来の福島、日本そして世界を引っ張っていくイノベーティブな活動を彼らがリードしてくれると確信した次第です。集合知によるリーダーシップ、そしてシステム×デザイン思考によるイノベーションの加速。福島の高校生たちからわたくしが学ばせていただいた、よき夏の日曜日でした。お世話になった先生方、関係者のみなさま、本当にありがとうございました。
  1. 2013/08/22(木) 23:32:04|
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イノベーションへの実戦プロジェクトの熱い夏に突入の巻

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慶應SDMの看板科目「デザインプロジェクト」は、昨日7/6日から、実戦的なイノベーションへのソリューションをひと夏かけてチームで生み出す第三フェーズに入りました。上の写真は、第三フェーズの意義についての講義を、食い入るような表情で聞き入る大学院生たち。

この日は、素晴らしいニュースの紹介もありました。世界屈指のデザイナーで、このデザインプロジェクトの講師になっていただいている田子學先生がデザインされた某製陶会社の食器が、世界3大デザイン賞のひとつといわれるRed Dot Design Award 2013のBest of Best 20に選ばれたのです。田子さんは世界3大デザイン賞のうち、もうひとつのiF Design Awardの金賞を受賞されています。日本のグッドデザイン賞も入れると3冠ということになります。おめでとうございます、田子先生!

世界3大デザイン賞のうちのふたつが、ハノーバーとエッセンというドイツの工業デザインの本場でのコンテストというのも興味深いですね。残りのひとつはアメリカの賞だそうです。

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上の写真は、Red Dotの雰囲気を解説してくださる田子先生です。

慶應SDMのデザインプロジェクトは三つのフェーズから構成されています。4月に始まる第一フェーズは、イノベーションを'システム×デザイン'思考で生成する方法論と60以上の技法を学ぶlearning phase。そして6月の1か月を使った第二フェーズは、active learning phaseと呼ばれ、自分たちが自発的に編成したチームで、ブロポーザーと呼ばれる企業等からいただいた製品サービスのイノベーションや組織の問題解決のイノベーティブソリューションの課題を、習った技法をすべて使って、まずは自ら実践してみるフェーズです。

そしてこの日からはじまった第三フェーズは、世の中にイノベーションを送りだすために、企業等からいただいた課題を、自らが会得した手法を自由自在に応用して、市場や組織に提案できるように、実際に自由に解いていくフェーズです。教員やプロポーザーの企業等の方々も厚い支援を行いますがの、結果はチームの自己責任。高いレベルの錬度がソリューションに求められます。

実は、学生たちは前週の土曜日6/29土に、第二フェーズの発表会を行い、教員・TAやプロポーザ企業の方々から、とても多くの助言と叱咤激励を受けています。改善すべきところ、もっと詰めていくところ。次のフェーズでは失敗は許されません。復習する学生たちの表情も真剣そのものです。

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6/29土の第二フェーズ発表会では、発表の際いただいた示唆・コメントをもとに、チームごとに再検討・戦略の練り直しを行い、さらに「自省」の発表を行いました。

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どこを改善するのか。フィールドワークは十分か。プロトタイプはどこで作るのか。ステークホルダーの声(VOX)の収集とエスノグラフに間違いはなかったか。アイデアは十分に発散したか。イノベーションへのロードマップはきちんと書けていたのか。systematic & systemicの発想はできていたか。プロポーザ企業の方々も入ってのチームの打ち合わせは熱気を帯びたものになります。

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そして、7/6日に迎えた第三フェーズの始まり。「実戦配備」の熱い夏が始まります。この日はチームごとに、教員・TAとの間でプロポーザ企業等の方々からの意見のフィードバックと、これからの方向性についてディスカッションを行いました。

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これからリアルイノベーションプロジェクト。やるぞー、という意気に皆燃えています。デザインプロジェクトの最終発表会は9月末。慶應SDMの学生に夏休みはないようです。フィールドワークやプロトタイプづくり、そしてブレーンストーミングやバリューグラフづくりに、早速みなフル展開していきました。熱い夏、身体に気をつけて! イノベーションの誕生に挑む学生たちに応援の声がこだましていました。




  1. 2013/07/07(日) 13:36:25|
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北の大地にイノベーションのタネをみなで播きました

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30人を超える有志が初夏の快晴にもかかわらず集まりました。6/15土の午後。北海道の私学の雄、北海学園大学の「法学部カフェ」。

ワールドカフェをほうふつとさせる、この「法学部カフェ」の記念すべき第20回に、カフェ店長こと法学部長の樽見先生にお呼びいただいたのでした。素晴らしいモチベーションで、アイスブレーク、ブレーンストーミング、親和図法へと進みます。

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ブレーンストーミングで思わず笑みがこぼれ、爆笑となったテーブル。このフロー状態が、イノベーティブなアイデアを生むのですね。

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「あったらいいな、こんな大学」をテーマにブレスト、そして親和図法へと進むと、発想は物理的な大学の枠をどんどん跳び越えていきます。

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大学と地域の協創は今一番旬のテーマ。慶應SDMが研究・開発をしてきた構造シフト発想法を使い、「北海学園大学2.0」を目指して、大学の目的、機能、コンポーネントの従来型の発想パターンにシフトをかけます。

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テーブルごとに選んだ「イケてる目的-機能-コンポーネントの組み合わせ」を、サラスらが70年代から実践していたプレイバックシアターの手法を使って表現。即興とイノベーションには、深い関係があるのです。

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この日のワークショップではなんと、大学の先生方もワークショップとスキットに積極的に参加していただきました。とてもとてもうれしかったです。「出前Open KiDS」として、無給ボランティアのでのお手伝いでしたが、参加された北の都の気鋭のリーダーの方々のアウトプットに、こちらが学んだことが多かった実り多き一日でした。素晴らしい設営と準備をいただいた樽見先生及び先生・スタッフのみなさま、本当にありがとうございました。


  1. 2013/06/16(日) 17:02:43|
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横浜市港北区日吉の大学院でポストシステム思考・ポストデザイン思考のイノベーション研究をしています。社会システムや政策デザインが主な関心です。

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